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【Message from 永積 崇】

11年前の11日は
自分のスタジオでアルバムのレコーディングをしていた。
地下の小さなスタジオでセッションをしていたら、メンバーの一人が
『あっ揺れてる 地震じゃない?』
と言った。
皆演奏をやめて揺れに聞き入ると、あれよと言う間に地震は大きくなっていった。慌てて皆で外に出ると、スタジオの目の前の直線の大通りがまるで大蛇の背中のように波を打っていた。唖然とした。
その日はレコーディングを中止にした。メンバーが帰るのを見送るたびこのままもう逢えないなんてことない・・ と浮かぶイメージをなんとかかき消したりした。

あの日で歌うって事が心や体から離れてしまった。声が思うように出なくなった。それまで無心に歌っていた歌詞やメロディに自信を持てなくなってしまった。そんな自分が沢山の人の前で歌うという事がとんでもなくプレッシャーに感じる時期が何年も続いた。

でもそれから沢山の人や言葉に出会い励まされた。以前は目にも留めなかった事に足を止めて見たり聞いたりする事が増えた。
歌う事を意識する事 大切にしたいと思う

戦争が始まってしまった
遠くのことじゃない気がしている。
僕らの周りにもいずれやってくるかもしれないと思って見ている。
あっちが悪いんだと言い切りたいけど自分はいつもそれができなくて呆然としてしまう。自分に問う先にはたしてそれは自分の中から生まれた気持ちなのか?これは何かから植え付けられたイメージなのじゃないか?じゃあ 目の前で大切な人が傷つけられたなら?どうだ?どうなんだ?
と考えだすと       
喉が硬くなりカラカラの声になる。僕の声はその事を叫ぶためにはできてないみたいだ。 
けど?
もしくはカラカラの声でもいいのかな?
あーーーわからん

結局今も揺れてる
自分は何者か?とか
なんで歌っているのか と
でもわきでるその問いに言葉で返せない
響きやトーンの方がその答えになんか近い気がしてる。
ステージ上で突然閃いて、
メロディーをフェイクしたり
、ビートに合わせてヘンテコなダンス全力でやったり。
その方が熱く問いに全身で返せている、ぶつかれている気がしてる

ああ
歌は歌える
歌う事はやめない
その事だけは動かない
あの日から超えてきた時間のおかげだ
あの時間があったおかげだ