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いつだったか

天気のいい夕方
西日がぎゅーんと影を引き連れて
路地裏を下校中の小学生の女の子が
二人とぼとぼ歩いてた。
真っ赤なランドセルから 教科書と筆箱の音を
どしゃどしゃ させて 下を向いておしゃべりしながら
歩いていた。

その向こうから 同じように下校中の男子が二人歩いて来て
女の子達を見かけると何やらニヤニヤ耳打ちして
すれ違いざまに 何かを投げた。

投げた物はポーンと 一人の女の子の頭に
ぶつかって ぽつんこんころ ところがった。

もう一人の女の子が うつむきながら
『なんかされた?』
と小さい声で心配そうに聞くと
『なーーーんも』
と答えた。

彼らがいなくなった後も
路地の壁に反響した
どしゃどしゃ ぽつんこんころ なーーんも
が 残っていて 全部連れて帰りたくなった。

道端にころがった物を拾って持って帰った。